ここにある
父親に制服姿を見せたという、とりあえずの理由があったあたしは

詩音がなぜ制服を着ているのか、わからずたずねた。

詩音は、少し短く切りそろえた前髪を気にしながら

「久しぶりに着たからさ、陶子に見せようと思って」


照れたようにうつむきながら笑った。

詩音の言葉に、あたしの頬は柔らかくゆるんだ。

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