ここにある
静かに少年の視線をたどってみる。

川の向こうには市営団地があるだけで、他には、これといって人目をひくようなものはない。


夕焼けがにじんだ川面は風情があり、それなりに楽しめたけど。


少年の目は、美しい風景にうっとりするような目ではない気がした。

あくまで、あたしのカンでしかないけど。

ちらりと、間近で少年の瞳を盗み見すれば、その瞳はみずみずしく、輝いている。

何かを知りたくてしょうがない、そんな好奇心に溢れているようだった。


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