ここにある
「あの花さ、ふらふらして倒れそうなんだ。どうしてかなぁと思ってさ…」

「どうしてって…」

それは、コスモスだから…という理由しかあたしには思い浮かばない。


「花ってさ、自分のことよく知ってるはずなんだ。どういう場所で咲いたらいいか、いつまで咲いていられるのか。だから、自分が弱いと思ったら、あんな場所では咲かないはずなんだ…」


あたしは、彼の言葉に完全に返す言葉を失っていた。

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