ここにある
「オレさ、夢中になると周りの音なんにも聞こえなくなるんだ…多分、さっきもそれで聞こえなかったんだと思う…」


心底、申し訳なさそうに言う彼に「べつに、いいよ」と言うと、彼のやわらかな微笑みが返ってきた。


最初に泣いた理由など、どうでもよくなっていた。

「でもさ、少し言い訳するけどオレ、耳はいいんだ」

「ふーん」

「例えば…」

「例えば?」

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