憧れの彼と恋する方法
私が呆然としていると、その人はゆっくり立ち上がって私の事を上から下までジロジロと眺めている。
ウェーブがかかった長い髪は腰まで伸びていて真っ黒く、所々白髪が混じっている。
スラッとしたその体には、足まで隠れた黒い服を纏っているが、ハッキリ言って凄い趣味…。
その姿はまるで、テレビや漫画なんかに出てくる魔女のようだ。
とは言ってもこのお店に居ると、そんな格好でも全然違和感がない。
その人は、私を一通り眺め終えると再び椅子へ腰を下ろした。
「あ、あの…」
私はゴクリと唾を飲み込んだ後、疑問を投げかけた。
「おば…、貴女はこのお店の方ですか?」
少しの沈黙の後、その人は私の目を見てこう言った。
「ローズだよ、私の名前はローズ」