憧れの彼と恋する方法

「ちょっと上の空だったんじゃない?」


困っている私に、星野さんがそう言った。

そして私は、下を向いてゆっくりと頷く。


竜司君の誘いを断ってしまった事がずっと頭から離れなかった。

今頃楽しく飲んでるのかな?とか、竜司君の顔がチラチラ脳裏に浮かんでは消え…。


やっぱり行けば良かったのかも、なんて最低な事まで一瞬思ってしまった。



「今日話したばかりよね。感情の乱れは、仕事にも影響するって」


桜井さんの言葉が重く圧し掛かる。

せっかくこんな機会を作ってもらったのに、時々違う事を考えていた私。

いくら自分がやるわけじゃないと言っても、見ることも勉強なのに。

こんなチャンスはもう2度とないかもしれないのに、私はそれを無駄にしてしまった。


最悪だ…。

竜司君の事と仕事を比べるなんて…。


そんな権利、私にはないのに。


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