憧れの彼と恋する方法

竜司君にちょっと待っててと告げ、私は焦って部屋の片付けをする。


「とりあえず見える所から…」

バタバタと部屋中を走り回り、ようやく玄関を開ける。



「今晩は」


そんな爽やかな笑顔で、当たり前のように今晩は…って。

竜司くんが来るなら来るって言ってよ、舞美のやつ~。


「汚くてごめんね」


ソワソワしながらリビングへと通す。


「これ、買ってきました」


そう言って大きな袋を手渡された。


「ん?何これ?」

「ケーキです」


ケーキ?

私が、どうして?という表情をしていると、竜司君が突然笑い出した。


「舞美さんの言ってた通りだ、やっぱ忘れてるんですね」


忘れてるって?


「今日は5月16日ですよ」


あっ…

すっかり忘れてた。


「誕生日おめでとうございます」


私、誕生日だったんだ。


「ありがとう」

そっか、それで舞美が…。
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