憧れの彼と恋する方法
泣きながら走り出し、気がついた時、私はあそこに居た。
『Arthur』
涙が止まらなくて、どうしようもなくて、誰かに聞いてほしかった。
扉を開け、店の中へ入っていく。
このお店は、朝でも夜でもいつも同じ薄暗い光を放っている。
「ローズさん…」
消えて無くなってしまいそうな程の、小さな声。
「来たね…」
そう言って奥の部屋から、ゆっくりと歩いてきた。
いつものローズさんとはちょっと違う優しい声で、私を大きな椅子に座らせた。
まるで私が来る事が分かっていたかのように、スッと温かいココアを差し出す。
甘くて…温かくて…美味しい。