憧れの彼と恋する方法
「由希、本当に大丈夫?」
鏡越しに心配そうな顔で私を見る舞美。
大丈夫とは言えない。
竜司君の顔を見ると胸が締め付けられて凄く辛いけど、仕事は仕事。
手を抜くわけにはいかないから。
「うん、とりあえず仕事に集中するよ」
無理に作った笑顔でそう答えた。
きっと、その笑顔が嘘だって事、舞美には分かってしまうと思うけど。
「はい、出来た!今日も最高の演技を見せてね」
そう言って舞美と一緒にスタジオへと向かう。
今日舞美は竜司君と一緒のシーンが多い。
こんな時に…って思うけど、世の中そういうものだよね。
残り1ヶ月しかない私に、誰かが『どうするんだ?』って急かしてるのかもしれない。