憧れの彼と恋する方法
Arthur
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「この店、なに…?」
私の目の前には、ファンタジー映画に出てきそうな所々ヒビが入ってる煉瓦造りの古い小さなお店。
中には魔法の杖や、呪いの本が並べられているのではないかと想像してしまう。
とにかく、21世紀の日本には場違いな外観。
この街で1人暮らしを始めて2年、さすがに何処にどんなお店があるかって事くらいは把握している。
どう考えてもおかしい。
だって、昨日までこんなお店なかった…。
風が吹く度にキイキイと音を立てているその看板には、こう書かれている。
『Arthur』
◇