憧れの彼と恋する方法
私は徐に携帯を手に取り、ボタンを押した。
今まで、自分から電話をした事は一度もなかった。
本当は、何度も何度も電話をしたいと思ってたのに。
竜司君の番号を探して、だけど通話のボタンが押せずにいた。
「あ、もしもし…私…」
「由希さんですよね?どうしたんですか?」
「こんな時間にごめんね」
「いえ、大丈夫ですよ。由希さんから電話なんて珍しいですよね」
前に進まなきゃ、何も始まらない。
「あのさ…撮影、あと2日だよね」
「そうですね、本当に早いですよ」
上手な誘い方なんて、もう忘れてしまった。
だから、思った事を正直に口にするしか出来ない。
「撮影終わったらもう会えないかもしれないから、だから…」
「何言ってんですか?終わったって別に会えますよ」
もう、会えないんだよ…。
私は、右手を自分の胸に当てた。