憧れの彼と恋する方法
この日もまた、慌しく撮影がスタートした。
スタッフや出演者が行き交うスタジオ内、私はいつも通り舞美のメイクをしている。
それは昨日までと何ら変わらないけれど、私の心の中だけは違った。
「ん?なんか変だぞ?」
舞美が鏡越しに私の顔を見てそう言った。
「何が?別に変な所なんてないよ」
昔からの付き合いなだけあって、私の表情にかなり敏感な舞美。
「もしかして…昨日何かあった?」
メイクをする手が一瞬止まる。
「何かって、何もあるわけないじゃん!ほら出来たよ!」
メイクを仕上げた私は舞美の肩をポンと叩き、これ以上表情を読まれないようにと後ろを向き、そのまま控え室を出た。