憧れの彼と恋する方法
「危なっ、舞美ってするどいんだもんな」
独り言を呟きながら控え室のドアに寄り掛かる。
すると、隣の控え室から出てきた若い女の子が私の顔を見るなり、突然走り寄って来た。
この子は確か、桜井さんのメイクアシスタントの沙羅ちゃん。
「あ、あの…」
真ん前に立ち、真剣な表情で私を見つめた。
「沙羅ちゃん…だよね?桜井さんから聞いてますよ」
「上野沙羅です。あの、私…」
そこまで言うと、遠くの方から沙羅ちゃんを呼ぶ桜井さんの声が聞こえてきた。
その声に気が付いた沙羅ちゃんは、私に軽く頭を下げてすぐにその場を走り去ってしまった。
何だったんだ?
何か私に言いたそうだったけど。