憧れの彼と恋する方法
だから私は、現実の恋から逃げた。
現実逃避なんて言ったら大袈裟だけど、絶対に叶う事のないテレビの中の彼を勝手に想うだけなら傷付く事もないし。
本気で好きになったとはいえ、この恋はただの幻。
沢山いる好きな芸能人の内の1人。
そう思い込むようにしていた。
臆病な私には、そういう恋がお似合いだから…。
そんな事を考えながらドラマを見ていたせいか、内容が全然頭に入ってこない。
ドラマの次回予告がテレビから流れているが、その音だけが微かに耳に残っていた。
気が付いたら、私はソファーに横になりそのままウトウトと眠ってしまったらしい。
ヘアメイクアーティストとして、テレビや映画の世界で活躍する自分の姿を夢見ながら……。