眠り姫はひだまりで


「え。どした?」

 
「あ………や、なんでもないの。ちょっと………ね………」

 
「なに。気になる。言ってよ」


「な…………なんでもないよ」


言えるわけないよぉ。


「言えって」

 
「いぃ、言わない」


ふるふる首を振る私に、純くんはムッとした顔をした。


そして、どんどん純くんの顔が近づいてくる。

 
「へっ…………!?なななな、なにっ…………」

 
あと数十センチで、唇がふれそうになったとき。

純くんがニヤッとして言った。



「言わないと、キスするよ?」


 
な………………!?


キキキキキス!?


「だだだだだめだよ!こっ、こんなとこで……………!」


そう。忘れてはならない。

ここは、川辺なのだ。

 
上には、普通に道がある。


そこまで人通りがあるわけじゃないけど…………


キスなんて見られたら、恥ずかしくて死んじゃうよ!

 

 
< 112 / 587 >

この作品をシェア

pagetop