眠り姫はひだまりで


「鍵?」

「そう!学校の空き教室!の鍵!」

「あー………、空き教室な」


私は、お兄ちゃんが帰って来たら、絶対に訊こうと思っていたことを訊いた。


空き教室の鍵のこと…………


ずっとないと思っていたのに、純くん曰く他の空き教室に、落ちていたという。

ソファの前に座る純くんを見る。

今日はちょうど純くんもいるんだもん。

どーゆーことか、ちゃんと説明してもらうんだ!


「で、あの鍵が、どうした?」


でも、お兄ちゃんは全然フツー。

…わかってるのかなぁ?


「鍵って、なくなったんだよね?」

「そうだ。なくなったから、あの特別ルートを通ってたんだ」

「いつごろなくなったの?」

そう訊くと、お兄ちゃんはう〜んと唸った。

「確か卒業する一ヶ月前だ」

「一ヶ月前!?」

なんか、案外遅かった。


「こんなこと訊いてどうすんだ」

「あのね、鍵が見つかったんだよ」

「なに、鍵が?」


信じられないという顔をするお兄ちゃん。



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