眠り姫はひだまりで


「ホントなの!ね、純くん!」

突然振ったからか、戸惑いながら頷く純くん。

「少年も知っているのか?旧校舎の空き教室を」


………お兄ちゃん、さすがにもう純くんの名前覚えただろーに、今だに「少年」なんだね。


「鍵見つけたの俺なんです」

「どこで見つけたんだ?」

「旧校舎の三階の空き教室で」


純くんがそう言うと、お兄ちゃんは再度熟考。

思い出してくれてる?

なくなったと思われていた鍵が、他の空き教室で見つかった。

それには、お兄ちゃん時代に、なんらかの秘密が…………!?

そして、お兄ちゃんは顔を上げて、言った。


「思い出せない」


まさかの『思い出せない』!!


「なんかないのぉ?」

「んー……わかんねんだよなぁ、鍵の管理をしてたのは、あいつだったし」

「あいつ?」

「俺と一緒に、空き教室を使っていた友達のことだ」


あ、そうだ。空き教室を使っていたのは、お兄ちゃんだけじゃないんだ。


「そのお友達とは、今どうしてるの?」

「あいつは、俺とは別の大学に行ったんだよ」



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