眠り姫はひだまりで
潤んでる目を気づかれたくなくて、私は少し上を向く。
そして、二階の廊下を歩きながら、純くんにお父さんのことを話すのだった。
できるだけ、詳しく。
純くんに、私のこと、もっと知ってもらうために。
*
「この子供部屋でね、まだ小さかった優馬と、お父さんとよく遊んでたんだ」
久しぶりに、子供部屋のドアを開けた。
今、純くんと二階の部屋を回って、お父さんとの思い出を話してる。
私の一言一言に、純くんはしっかり返事をしてくれる。
………私のことばっかだけど、純くんつまんなくないのかな。
「…………私のことばっかで、楽しい?」
子供部屋のドアの前で訊いた。
すると、純くんは、「楽しいよ?」って。
子供部屋を見ながら返事をした。
ホントかなぁ?
でも、純くんは明るい顔してるし、話し続けていーよね。
後であやまっとこ…………
私達は、子供部屋から離れて、廊下を歩きはじめる。