眠り姫はひだまりで
「次の部屋は………」
言って、部屋に入ろうとした。
けど………
私の足が、止まった。
「色葉?」
純くんが、後ろから覗き込んでくる。
「……………」
この、部屋は。
「お父さんの、書斎なの…………」
たぶん、いちばんお父さんとの思い出がつまってる。
私の部屋とは逆方向にあるから、ドアさえも見る事のなかった書斎。
私は、ゆっくり書斎のドアを開けた。
見えたのは、懐かしい風景。
何年ぶりだろう。
「………大切な、場所なの?」
私の横で、純くんが言った。
「うん」
書斎のなかに、足を踏み入れた。
「純くんも入って」
そう言うと、純くんも「お邪魔しまーす……」と言って入った。
書斎には、たくさんの高い本棚。
窓ぎわの、机…………
お父さんが使っていた当時のまま、部屋の内部は残されていた。
お父さんとの思い出が、よみがえる。