眠り姫はひだまりで
私は静かに言った。
「………ここでね、お昼寝するのが大好きだったの」
「…………うん」
呟いた私のほうは見ずに、純くんは本棚を見上げながら、返事をしてくれた。
「お父さんのお仕事の邪魔してね………。あ、お父さんは絵本作家だったんだけど」
本棚には、お父さんの描いた絵本が、たくさん並んでいる。
もちろん、私の部屋の本棚にも。
「お父さんが絵本描いてる時に、『寝たい』って言って。それでお父さんがお仕事中断して、床に座って手招きするの」
「うん」
「私はお父さんのとこ行って、お父さんに寄りかかって寝るんだ…………。寝付けないときは、絵本読んでもらったりしてね」
「うん」
「お父さんのそばはね、すっごくあったかいの。ひだまりみたいに、 あったかいの…………」
記憶がよみがえる。
あったかくて………
すごく、心地よくて。
「お父さんのそばで寝るのが、大好きだったんだぁ…………」