眠り姫はひだまりで


「…………へ?」

寝る?


「だから、俺のそばで寝らん?」


ん、と純くんは軽く手を広げる。

………え?


も、もしかして、お父さんのときみたいに、ってこと?

な……………!?


「…………顔真っ赤。なんもしねーって。ほら」


ぐい、と腕を引っ張られた。


抱きしめられる。


「じゅじゅ純くん…………!」


「暴れんなっつの。いーからおとなしく寝ろ」

ぽんぼん、と頭を叩かれた。

こ、この状態で寝ろ、なんて………。

無理、と言おうとしたけれど、なんだか急に眠くなってしまった。


………だって、あったかい。

すごく、あったかいんだもん。

純くんの腕の中は、不思議なくらいあったかかった。


…………眠くなっちゃう。


「………純くん」

「…………ん?」


私は、純くんの顔は見ずに、話しかけた。

「…………ばか」

「…あっそ」


「今はいじわるじゃないんだね」

「して欲しいならするけど」

「遠慮します」

「残念」


……そんな会話が、

すごく心地よかった。



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