眠り姫はひだまりで

好き、だからこそ




「………はぁ………はぁ………」


資料室に着き、息を切らしながら、机の下にもぐる。


壁を押した。

四つん這いになって四角い通路を通る。


………こんなに急いで、空き教室に行く事あったかな。

このペースで行ったら、多分いつもの二倍早く着くね。


「………そんなに早く会いたいのかなぁ………?」

純くんに。

通路を進みながら、ふ、と笑ってしまう。


…………好きな人に会いたい。


なんて気持ち、初めて感じた。


おとといのことがあって、なんとなく会うのが恥ずい。

だって、寝ちゃったんだよ?

純くんの腕のなかで………


思い出しただけで、かぁ~っと顔が熱くなる。

行き止まりが見えてきた。

つまり、あの壁を押したら、空き教室。


純くん、来てるかな………?

当然私達は、約束なんてしていない。


来てると、いいなぁ・・・。


私は、行き止まりの壁を押した。



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