眠り姫はひだまりで
「………あ。えっとね、昨日の夕方に帰ったよ」
すっごい泣きそうな顔して。
昨日お兄ちゃんは、向こうのボロアパートへイヤイヤ帰っていった。
今日大事な用があったらしくて、渋々ってカンジ。
大学の授業もあるだろうしね。
久々に家に帰ってきたっていうのもあるだろーし…
なんか、私と純くんの仲が、心配だとかなんとか。
「お兄ちゃんね、すごいんだよー。向こうから、自転車で、こっちまで来たらしいの」
「マジで?」
そう。驚くことにお兄ちゃんは、あっちのボロアパートから、自転車に乗って来たらしい。
思い出してみると、あの日街中で、お兄ちゃんと会ったとき、お兄ちゃんは自転車に乗っていた。
ラフな格好して寒くないの?とか、考えてた私。
お兄ちゃんの体力は、底知れない。
恐るべしお兄ちゃんパワー。