眠り姫はひだまりで


………ちょっとぐらいは、素直に。


「…………純くんの腕のなかで寝ちゃったら、寝入っちゃって起きれないでしょ」


純くんの目は見れなかった。

でも、チラッと見たとき、とても驚いた顔をしていた。


そのあと…


………フッと、笑われた気がした。


「授業なんかどーでもいーじゃん」


ぐいっと引っ張られ、座らされる。


私の不服そうな顔に、純くんはとても嬉しそうに笑った。

そして、私に向かっても一度手を広げた。


「どーぞ、お姫様?」


……くそぅ。

かっこいい。


いっつも結局勝てない。

悔しいなぁ。


私は頬を膨らませながら、

のそのそと王子様の腕のなかへと、身を委ねた。


ちょっとだけ上を向くと、

純くんの笑った顔が見えた。





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