眠り姫はひだまりで


…………いいのかなぁ、私。

ふと、考える。

学校の王子様を、昼休みだけ独り占めだ。


しかも私、彼女でもないのに。


そう思った瞬間、なにかが私のなかで引っかかった。



そして左頬で、ちゅ、という音と、あたたかい感触。

え。

………ちゅ?

ばっと上を向くと、純くんのしてやったという甘い笑みが見えた。

「いいぃいぃ今!」

「はは、不意打ちー」


なに笑ってんのー!

ほっぺちゅって!

ほっぺちゅって!

きゃぁあぁああぁ!


…………でも、なんだろう。


このカンジ……………。


好きな人に、ほっぺにキスされた。

なのに…………

全然嬉しくない。



だって私、彼女じゃない。

彼氏にキスされたんじゃなくて、好きな人にキスされた。





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