眠り姫はひだまりで


「なかなか戻ってこないからさぁ」


大和のほうに駆け寄ると、笑っていた。


「そっか。ありがと!待たせてゴメン」


「いいよ。手伝いお疲れ。な、このあと色葉は誰かと帰る約束してたりする?」

「してないよー」


「よかった。じゃあさ、一緒に帰ろうよ。教室でじゃなくて、帰りながら話そう?話すこと沢山あるし」


「え……あ、う……うん」


わかっているようだった。

私が教室に待ってるよう言った理由も、なにを話したいかも。

…………さすが、大和だなぁ。


「あ、私かばん教室にあるんだ。取りにいかなきゃ」

「一緒に行くよ」


そうして、教室までふたりで歩いた。

久しぶりだ。

大和と制服で、話して、歩いて…………。


大和は優しい。

話すときは、大体私が話すのを、大和が時折相づちを打つって形。


…………変わってないね。

あの頃と。



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