眠り姫はひだまりで
女子たちの、キャッキャッという可愛い声が聞こえる。
『えぇ~それまじで~?ウケるー!あ、マキ、そのリップ可愛い!』
『でしょー?このシリーズでね、他にも…』
『…………で?リカ、色葉と佐伯くんが、なに?』
リカ。隣のクラスで、結構しゃべったりするんだよね。
『んー、さっきさぁ、六組行ったら、佐伯くんがひとりで誰か待ってるみたいだったからぁ、気になってたんだけどぉ………』
『マジで?』
『うん、それでさぁ、さっき三階行ったら、見ちゃったんだよねぇー』
『なにを?』
『色葉と、ちょー仲良さそうに歩いてるところ!』
キャー!!と女子たちの悲鳴にも似た叫び声が聞こえた。
…………てゆーか、見られてたんだ。
『えぇー!それって付き合ってんの!?』
『やだぁー!せっかくのイケメンー!』
『やー、そうじゃないらしーよー。さっきまでマサシとメールしてたんだけどさぁ、佐伯くん彼女いないって言ってたらしいし!友達じゃね?』
マサシって、うちのクラスの野木正志くんのこと?
休み時間に、大和はそんなことまで訊かれたんだ。