眠り姫はひだまりで


教室には、私と大和だけになった。


私は文化祭当日に、体育館のステージを飾るための輪飾りを、大和は当日ステージ発表する生徒の名簿を任されて、それぞれ黙々と作業をしていた。


カチ、カチ、カチ…

時計の音だけが教室に響く。


「…………………」


……なにか、喋るべきなのかな。


でも、大和の方を見ると、凄く集中しているようで、なんだか邪魔するのも悪いかなと考えてしまう。



そう、話しかけようか迷っていたら。


「………ねぇ、色葉」


目線は名簿へと注がれたまま、話しかけられた。



「…………なに?大和」


その頃の私達は、もう名前で呼び合っていた。


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