眠り姫はひだまりで


『頼みますって言うその彼の懇願の顔にやられちゃって…わかったわよ、って言っちゃった』

イケメンってホントズルいよねー、と笑う先輩達。


ホント、ズルいよ。大和…。


『………でも、まぁ、これだけじゃないんだけどね』

え?という顔をする私に、ホントは多分言っちゃいけないんだろうけどね、と笑う先輩は、もうひとつ、私の知らないことを教えてくれた。


『あたしは偶然見ちゃったんだけど…』


その話を聞いた瞬間、泣きそうになった。



職員室のほうから歩いてくる大和が見える。


「大和!」


私に気づくと、お、と手を振ってくれる。


「どした?」


「あ、あのっ…...あのね、話があって!」


「……?うん、いいけど」


一応周りに聞かれる心配をして、ひと気のない階段のほうへいった。




「話って?」


のんきな顔して。

なにが考えておくよ、だ。

しっかりやっちゃってんじゃん!


「斉藤先輩のこと…!大和、ホントは私の知らないとこで、先輩に色々言ってくれ…もがっ」 


口を手で塞がれた。

大和を見ると、ちょっと照れ臭そうな、ふてくされたような、見たことない複雑な表情をしていた。
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