眠り姫はひだまりで

なんか、こっち見てる。


「な、なななんですか………?」


怯えながら訊くと、着ぐるみさんは、ひとつ風船を差し出してきた。


「………へ?」


ピンクの風船と、着ぐるみさんを凝視。

当たり前だけど、着ぐるみさんの表情は変わらない。


「………くれるの…?」


着ぐるみさんは、こく、と頷いた。

びっくりしながら、風船を受け取る。

着ぐるみさんは、柔らかそうな背中を向けて、去っていった。

「…………」

…なんでもらえたんだろう、私。


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