眠り姫はひだまりで


心配だったから…って。

「こっち来て大丈夫なの?」

そう訊くと、む、とした顔をされた。

「それは色葉もでしょ」

「それは…そうだけどぉ」

だって大和は、女の子たちに囲まれてたし。

きっと今頃、女の子たちは不満気に声を上げているに違いない。


すると、びっくりしながら私たちのやりとりを見ていた男の子が、ハッとして人ごみのほうを見つめた。


「……どうしたの?」

「………ママのこえ………」

「えっ………」


聞こえたの?と訊く前に。


「京介!」


若い女の人が、綺麗な髪を振り乱して、こちらへ走って来た。


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