眠り姫はひだまりで


その場で固まっていると、すぐそばから靴が地面にこすれる音がした。


「…なんで固まってんの。行こーよ」


見ると、純くんがちょっと呆れた目で、私を見ていた。

「………うん…」

…久しぶりに、あった、目。

それは、私が嬉しいと思う目で。

ぽわぁ、と、私のなかで嬉しいって感情が広がる。

…あの目じゃなかった。

優しい優しい、他人を見る目じゃなかったから。



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