眠り姫はひだまりで


「あ…り、がとう…」


急いで、顔をそらす。

顔、今絶対赤いもん。

でも、誕生日に好きなひとにおめでとうって言ってもらえた。

それって、すっごく幸せなことだよね。

必死に熱を冷ましながら、ひとつ言わなきゃならないことを思い出した。


「…あ、そーだ。純くん」


見上げると、「ん?」って優しい顔。

そんなことだけで、なんかちょっとキュンとする。


「お礼…言ってなかったから。うちにきたとき、私寝ちゃったんだよね。ベッドに運んでくれてありがとう」


ケンカ(?)しちゃった日、結局言おうと思ってたこと、言えなかったんだよね。


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