眠り姫はひだまりで


「…え?」

「鈍感そうだもんね。見た目からして」

その言葉に、ちょっとカチンと来る。

…確かに、鈍感、かもしれないけど。


私が何に気づいてないの、とは、訊きたくない。


返ってくる言葉は、わかってる。

信じたくない、けれど。

黙って見返す私を見て、菜々花ちゃんは今度こそ私を睨んだ。


「なんで気づかないの?佐伯くんの、好きな人」


そして、口を開く。


…聞きたくない。

…信じたくない、言葉を。



< 379 / 587 >

この作品をシェア

pagetop