眠り姫はひだまりで


「……………そう、だね」

私は、紙に目を戻す。

筆を動かそうとして、けれどできない。


「ふたりで教室残って、委員会の仕事してた」


…うん、覚えてる。


覚えて、いるよ。


大和の、筆を動かす手は鮮やかで。

けれど私の手は、動かない。

いろんなことが頭を駆け巡って、どうしようもない。

「文化祭の準備とか、よく教室残ってたよね」

「…うん」

「色葉はよく、輪飾り作ってた」

隣で楽しそうに話す大和の声と、中学の時の大和の声が重なる。


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