眠り姫はひだまりで


あのときより、大人びた表情をして。

あのときより、優しい声をして。



「…色葉、顔、絵の具ついてる」


そしてあのときより、男のひとの姿をして。

私に、手を伸ばす。


知らない、雰囲気をまとって。

私の知らない、大和の姿で。


「…顔、洗ってくるっ……!」


頬に伸びてきた大和の指先から逃れるように、私は立ち上がった。


「…え…あ、うん………」


驚いたような声が、後ろで聞こえる。


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