眠り姫はひだまりで


「…なにしてんの?なんでひとり?」


不思議そうに、純くんは私を見下ろす。

私は嬉しいような、寂しいような、複雑な気持ちだった。

「…純くんこそ…なんで?」

「俺は、空き教室行こうとしてたんだけど」

えっ……

あ、そっか。この廊下を真っ直ぐ行けば、旧校舎へつくんだ。


「色葉、今日行かないの?」


…行きたい、けど。

「…今日は…ちょっと。行かない」

俯きながら言うと、純くんは驚いたようにぽかんとした。


「どーした?超テンション低いじゃん」

すると純くんは、窓の淵に足をかけて、そのまま乗り越えた。

私の隣に足をつけると、草の地面に腰を下ろす。

…一緒に、いてくれるんだ。


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