眠り姫はひだまりで
「なんかあった?大丈夫?」
私の目を見て、心配そうな顔をしてくれる。
…うう、優しさが身に染みるよ。
私はお弁当箱のなかに転がるタコさんウインナーを見つめて、「あのね」と言った。
「…私、中学の時から仲の良い男子がいてね?」
一応、大和の名前は伏せておく。
もしかしたら、純くんの耳にも、噂は届いているかもしれないけど。
話しはじめた私に、純くんは黙って聞いていてくれた。
「その男子が、私のこと好きなんじゃないかって、噂がたってるらしくて」
言葉にすると、なんだか陳腐なことのように感じた。
よくあること、かもしれない。
けど、大和だから。
大和だから、無視できないんだ。
「そのひと、すごく優しくてね。私も信頼してるし、気まずくなったりとか、したくなくて」
けど、でも…
「…そのひとが噂のこと知ってるかは、わかんないけど。私、気にしちゃって。変な態度、とっちゃった……」
じわじわと、目に涙が浮かんでくる。