眠り姫はひだまりで


私は廊下を歩く自分の足を見つめながら、「うん」と相槌を打った。


「一言でいうと、来るもの拒まず、去る者追わず、ってやつ。だから周りは女の子が絶えないし、お世辞にも誠実だとは、言えないって…」

…うん。

大体、わかってた。

「…見るからに、チャラそうだもんね」

はは、と笑うと、ミオは気を遣ってくれているのか、小さく笑いかえしてくれた。


「…だからね、色葉」


ぴた、とミオの足が止まる。

見ると、辛そうに顔を歪めていて。

私の大好きな親友は、「色葉がそれでも好きなら、止めないけど」と言った。


「…あたしは、やめといたほうがいいと思う。…傷ついて、ほしくない」


…ミオ。

わかってるよ。

ミオが言いたいこと、ちゃんとわかってるよ。

…中学の時のこと、言ってるんだよね。


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