眠り姫はひだまりで


くらくらする、視界がゆがむ。

曖昧な視界のなかで、私は返事をしようと口を開いた。

…優しいね。

ほんと、優しい。


「色葉ー、ちょっと来てー」


声にハッとして、そっちを見る。

向こうで、クラスメイトが呼んでいた。

「ここって、どーすんのー?」


「あ、そこは……」

ガタ、と席を立って、向こうへ行こうとしたとき。


グラッ…………

…あ。

「色葉!」

大和の慌てた声がする。

足が上手くついていかなくなって、視界が真っ暗。

…あ、これが、めまいってやつ?

嫌な感じだなぁ……


なんて、呑気な考えを巡らせながら、私の体は傾いていく。

そろそろ床が近くなってきたとき、私の体は力強い腕に支えられた。


「…馬鹿色葉」

ぼそ、という大好きな声が、頭上からした。

ズキズキする頭を動かして、上を見上げる。


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