眠り姫はひだまりで


…なーんとなく、気まずい。

実際、二週間ほど連絡取り合ってないし、話もしてない。

色葉とこんなことになったのははじめてだから、いつ仲直りをしたらいいのかわからなかった。

タイミング、ってやつね。


ふぅ、と息を吸い込んで、ゆっくりと吐く。

そして扉に手をかけたとき、扉の向こうから強い声が聞こえた。


「色葉と付き合ってるの?」


…佐伯くんの、声だ。

え。

な、なにそれ。

保健室に、佐伯くんの他に誰かいるの?

言葉の内容からして、男子だよね。


「………」

あたしは不安になって、扉を開けることができないまま、その場に突っ立っている。

扉の向こうから、「付き合ってないよ」という返事の声がした。


…っこ、この声って。

水野くん!?


うそ、うそ、と戸惑いながら、あたしは扉の前から動くことが出来なかった。

< 425 / 587 >

この作品をシェア

pagetop