眠り姫はひだまりで


佐伯くんは少しの間黙ったあと、「いや」と返事をした。


「好きは好きだけど、そーゆー好きじゃない」


…ねぇ、佐伯くん。

今、どんな顔してる?


あたしは扉の向こうにいる佐伯くんを見つめて、目を細めた。


水野くんは「そ」と短く返事をする。

そして、段々と足音が近づいてきた。

…って、えっ?

えっ、なに?こっちくるの!?出るの!?


ガラっ………


「…っあ」


逃げようか迷っている間に、扉は開けられた。

水野くんは、驚いたようにあたしを見てて。

「…あ、えっと……ご、ごめん」

目線をそらして謝ると、水野くんは小さく笑った。

…え?


< 429 / 587 >

この作品をシェア

pagetop