眠り姫はひだまりで


そして、何故かぽん、と頭を撫でられる。

はっ?

「…え、なに」

「いや。丸井さん、綺麗だなぁと思って」

…よく、そんなこと言えるわね。

やっぱこのひと軽いわ、と思っていると、頭から手が離される。


目が合うと、さっきより少し違う笑みをされた。


「…あと、優しい。すごく」


…少しだけ、切なそうな。

あたしが驚いてなにも言えなくなっていると、水野くんはひらひらと手を振って「じゃあね」と言った。

そして、向こうへ歩いて行く。


…なに、それ?

ここに突っ立って、話聞いてたこと、わかってるよね?

なのに、なんで『優しい』なの…?


なんだか、水野くんのことがよくわかんなってきた。


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