眠り姫はひだまりで
黒髪の姫と王子と
ガラ………
保健室の扉を開ける。
三つ並んだうち、奥のベッドから佐伯くんの顔が見えた。
「…丸井さん?」
小さく笑いながら、手を振る。
「色葉が倒れたって聞いて」
言うと、佐伯くんは「ああ」と納得したように返事をした。
色葉が寝ているベッドのそばへ行くと、可愛らしい寝顔が見えた。
「佐伯くんが運んだの?」
色葉のこと、と言うと、首を横に振られた。
「…運んだのは、純だよ」
え…
「水野くん?」
「さっき、ドアの前で話してたでしょ」
あ、ばれてるのか。
あはは、と苦笑いしながら、「ごめん」と謝った。