眠り姫はひだまりで


「…女子って、怖いもんねえ」

苦笑いして言うと、「だね」と笑い返してくれた。

「…純自体も、結構女子に対して軽いでしょ。だから、中学の時みたいなのは、勘弁ってね」


…ほんと、かっこいいなぁ。

中学の時の斉藤先輩の話だって、佐伯くんが裏で事をおさめたっていうし。

色葉を陰から守ってる。

まるで、王子様だ。


「…たぶん水野くんは、斉藤先輩とはちょっと違うと思う」


あたしの言葉に、佐伯くんも「うん」と言った。

「なにを考えてるかはわからないけどね。純と話してる時の色葉、楽しそうだから」

…それなら、よかった。

色葉が楽しんで恋をしてるなら、もうあたしはなにも言わないほうがいいだろう。

あたしはあたしで、本気で恋しそうな相手がいることだしね。


「水野くんなら、まぁ、色葉のこと任せてもいいかなぁ」


言うと、はは、と笑われた。



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