眠り姫はひだまりで


「丸井さん、お母さんみたい」

「な、なによー、よく言われるけど。佐伯くんだって、人のこと言えないでしょ。お父さん!」

「えー」

ほんと、あたしがお母さんなら、佐伯くんも充分お父さんが務まると思うんだけど。


あたしは拗ねたように唇を尖らせると、「澪でいーよ」と言った。

「え?」

「名前。苗字じゃなくて、澪でいーよ。あたしも大和って呼ぶから」

嫌ならいいけど、とつぶやくと、嬉しそうに笑ってくれた。

「色葉のお父さんとお母さんの仲だしね。いーよ。澪」

…いい笑顔。

これだから、イケメンは。


「…大和のばーか」

「名前呼びになった途端に、言うようになるねー」

これは仲良くなったって思っていいの、と大和が笑う。


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