眠り姫はひだまりで


シートの上に置くと、先輩は手を温めながら「ホントにありがとう」と言ってくれた。


「いえいえ!午後、頑張ってください!」


…ちょっとは、役に立てたかな。


鞄から財布を取って、スペースを出る。

…やっぱ、もう一年生は近くにいない。

最初から知り合いは美海ちゃんしかいなかったし、仕方ないけど…

うーん、ひとりで回るのも、寂しいなぁ。


きょろきょろと周りを見回して、おしるこを配っているスペースが目に入った。

ひとつもらって、広場のベンチに腰を下ろす。


…おしるこ、あったかい。

あんまりお金も使いたくないし、これだけでいいんじゃないかなぁなんて思えてくる。

午前中、お仕事頑張ったし。

いい経験、できた。

それだけでも、今回このバザー委員をした意味があると思う。


< 449 / 587 >

この作品をシェア

pagetop