眠り姫はひだまりで
少し子供っぽくて得意げな純くんの笑顔は、眩しくって直視できない。
けど、目をそらしたくもない。
できれば、ずっと見ていたくって。
「…うん!」
私は人混みに紛れながら、彼の耳に届くように、元気良く返事をした。
*
「お、焼きそばがあるー」
純くんは美味しそうな匂いのする屋台を指差して、「食べたい」と連呼した。
「…お昼ご飯、食べたばっかだよ?」
ふたりでフードをかぶって歩く姿は、ちょっと変なカップルかもしれない。
…いや、相手が私じゃ、釣り合わなくてカップルには見えないかもしれないけど。
「えー、食べたいもんは食べたいんだって」
育ち盛りですから、と隣で純くんが笑う。
私は「そうだね」と笑いながら、心のなかはドタドタと騒がしかった。