眠り姫はひだまりで


私が『早く言え』と睨む。

 
「あーハイハイ。言う言う。そんな睨むな。ゴメンて。今のは魔がさしただけだから。えっとね、結構単純な理由だよ」


「…………そう、なの?」


…魔がさした、とか、その辺はスルーしとく。


「うん。は?ってなんなよ。頼むから。本っ当フツーに鍵入手」


「…フツーに?」


「そ。すげーフツー。いーか、聞いて驚け。俺はこの鍵を………」


私は、ごく、と喉を鳴らす。

純くんは、真剣な瞳で言った。



「…旧校舎の三階のとある空き教室に落ちてたから、拾ったんだ」



「うん」


「拾ったんだ」

…うん。

拾ったのは、わかったよ。


「二回も言わなくてもいいよ。それで?」


「だから、拾ったんだよ!!」


…………えっ。

「…ええぇ!?拾っただけなのぉ!?てゆーか、落ちてたのぉ!?」


「そーだよ!落ちてたから拾ってきただけだよ!別に特別な理由も何もねぇよ!」



…………………。


えぇ~~~~………………


よっぽど焦らすから、それほどの理由があったのかと思ったよ…………。


  
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