眠り姫はひだまりで


パキ、と音をさせて、クッキーが割れる。

ひゃー、美味しい。


「あっ、色葉ずるーい!」


…あらら。

美海ちゃんが、私の後ろで可愛らしく頬を膨らませていた。

「うちも食べたーい!」

「あはは…ばれちゃった」

美海ちゃんに一枚あげると、他の子も「ちょうだい」と言って集まって来た。

あんまり、量ないんだけど…


「色葉?」

そう言って、大和が私の前に来たとき、もう袋の中はからだった。

残ったのは、私の片手にある食べかけのクッキー、一枚(の半分)。

「あ…大和」

「なに、クッキー?」

クッキーを手にした子は、「美味しい」と言って片付けに戻って行く。


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